親にも「人生を楽しんでもらう」ために
「自分の親にはいつまでも元気でいてほしい」。
それは、どんな人にとっても共通の思いである。
しかし、何もせずに願っているだけではまずい。
なぜなら、忙しさにかまけて何のアプローチもしないでいると、いつの間にか親がボケてしまったり、寝込んでしまったりすることも珍しくないからだ。
親に元気でいてもらうためにはポイントがある。
それは、人生に楽しみや張りを持ってもらうことだろう。
人間、年齢を重ねると、どうしてもときめきが薄らいでくる。
40代の親世代ともなれば、「あれもやりたい、これもやりたい」と積極的に動き回る人のほうが圧倒的に少ない。
そのため、趣味らしいもののひとつもなく、またご近所づき合いも、友人との交遊も少ない高齢者はどんどん内向的になる。
極端な例では「ただ生きているだけ」になってしまうケースもある。
だからこそ、こちらから積極的に関わりを持つ努力が必要だ。
なにもたびたび旅行や遊びに連れていくべきだ、と言うわけではない。
しかし、別に居を構えている親子なら、たまにはどちらかの家で一緒に食事をとったり、親の買い物につき合ったりしてほしい。
それだけでも高齢者にとっては生活の張りや楽しみ、喜びが生まれる
また、親が暮らしている地域の趣味のサークルを調べてきたり、親が興味を持ちそうな集まりに「ちょっと行ってみない」と、声をかけるのも大変効果的だ。
自発的に新しいことを始めるエネルギーが高齢者には不足しがちなので、子どもがそのきっかけづくりや、一歩を踏み出す手伝いをするのである。
どこの地域にも公民館やコミュニティーセンターといった教育福祉施設があるので、ぜひ一度足を運んでいただきたい。
たくさんの親世代の人たちが、生き生きと活動しているのがわかるだろう。
ときには一緒に映画や芝居を見たり、演奏会などに出かけるのもいいだろう。
芸術にふれることで脳が刺激を受け、気持ちの若返りも期待できる。
老夫婦だけで暮らしていたり、一人暮らしのお年寄りにとって大切なのは、社会とのつながりを切らないことである。
だからこそ40代の子ども世代には、親と社会の橋渡し役をしてほしいのだ。