「いい質問ができる」と職場の空気はガラリと変わる
部下を何人もたばねて仕事をしなければならない40代は、「どうも私はコミュニケーションが下手で・・・」などと言っているわけにはいかない。
年功序列の仕組みが有効だった時代では、多少コミュニケーションに難があっても、ところてん式にそれなりに昇進できたかもしれないが、成果主義に移行していく現代、そのままでは昇進するどころか、リストラもされかねない。
組織で仕事をする以上、多くの人と接する機会があるのだから、コミュニケーションカは欠かせないものである。
「人間の能力はそれぞれだ。コミュニケーション力が多少不足していようが、それを補う仕事上の能力があればいいじゃないか」という考え方は、もう通用しない。
本当に卓越した能力があるのなら、独立して一人で行なえるビジネスを始めればいいのである。
コミュニケーションに苦手意識を持つ人は多いが、たとえそれが謙遜から出た言葉だとしても、40代にもなって「自分はコミュニケーションが下手だから・・・」と思っているのは単なる甘えである。
ここで克服しなければ、後の人生は楽しいものにならないだろう。
また、コミュニケーション下手を意識しすぎるあまり、心の病におかされる人も増加している。
そういう意味からもいますぐ手を打つべきである。
40代はコミュニケーション力を改善するチャンスともいえるだろう。
コミュニケーション力は能力ではなく単なるスキルである。
コミュニケーション力アップのための策を、いくつか紹介しておこう。
コミュニケーション力は、「聞く力」と「伝える力」の二つの要素で構成されている。
まず、てっとり早く改善できるのは 「聞く力」だ。
「聞く力のある人は仕事がよくできる」というのは、仕事の現場では常識になっている。
自分の意見を主張するだけではなく、まず相手の話をじっくり聞いて、相手の心のなかを読み取ることが重要なのである。
つまり、「聞く」とは、相手の言うことをただ聞くだけではない。
相手から何かを「引き出す」のが目的といえる。
相手が自分から言葉にしなくても、心のなかに持っていることをうまく引き出してこそ、コミュニケーションがとれるのである。
具体的にどうするかというと、相手に「質問」することだ。
「質問」は、その内容が重要だ。
相手に関心を持った、相手の立場を考えた質問でないと意味を持たない。
たとえば、明らかにモチべーションの下がっている部下に対して、「どうしたんだ、たるんでいるんじゃないか」といった言葉をかけるのではなく、「どうしたんだ、いつもの君らしくないな。何か困り事でもあるのか?」といった質問ができるかどうかである。
これは、「質問」という形をとっているものの、相手に「常に関心を持って見ているよ」というメッセージを伝えるものでもある。
相手が心を開く質問は、相手の存在を認め、関心を持つところから生まれてくる。
相手の立場を想像する力が必要になってくる。
通り一遍の、とってつけたような質問では相手からは何も引き出せないし、一方的に質間を重ねて尋問のようになってしまっては、コミュニケーションどころではない。
また、40代になると、若手の話をまったく受け入れない人が出てくる。
これでは職場の雰囲気はギスギスしたものになるだろう。
相手の話をいったん聞いて、そこから質問を広げるように、もっとゆったりした心で接したいものだ。
「聞く力」を磨くだめには、まず「質問力」をアップするところから始めるといいだろう。