定年後に「自分は何ができるか」考える
サラリーマン時代は、とかく肩書きを重視するが、そんなものは会社を辞めてしまえば何の役にも立たない。
定年後も働きたいなら、会社勤めをしているうちに「その道のプロになる」ことだ。
営業なら営業のプロになる。
人事なら人事のスペシャリストになる。
本当に能力が高く、実力のある人であれば、会社を辞めても必ず生きていけるものだ。
たとえば、最近は会社を辞めた人間とフリーランスの立場で業務委託契約を結ぶケースが増えている。
テレビ局の看板アナウンサーが退社し、フリーになっても古巣で番組を持つケースがよくあるが、実力さえあれば、同じような働き方が普通のサラリーマンの世界でもできるようになっているのだ。
何か資格でも持っていれば、在職中の実務経験もあるわけだから、大いに武器になる。
たとえば社会保険労務士の資格を持つなら、人事コンサルタントとして委託契約を結べばいい。
社内事情に精通しているプロは、古巣にとってもありがたい存在になるはずだ。
ただし、古巣と委託契約を結んで働くには円満退社が大前提だ。
トラブルを抱えて退社した場合は、よその会社で仕事を探さないといけないのは言うまでもない。
実力もさることながら、ただ資格を持っているだけでは、現役時代からの幅広い人脈がないとたちまち行き詰まる。
会社勤めをしているうちから、会社以外の人間とのつきあいを広げておくことだ。
いずれにしろその道のプロになれば、必ず道は開ける。
もしあなたが経理一筋三十年の大ベテランで、定年後も働きたいなら、その知識とスキルはたいへんな売りものになる。
世の中には経理担当者のいない小さな事務所はいくらでもある。
友人知人などをたどっていけば、あなたの周囲にもそんな事務所の一つや二つは必ずあるはずだ。
たとえば、そういう事務所の経理の事務代行を副業で引き受ける。
それも格安の料金で請け負う。
経理担当者を一人雇うよりトクとわかれば、必ず依頼してくれるところが現定年後を見据え、週末などを利用して、そういう仕事を始めてみる。
慣れてきたら、お客さんを紹介してもらうなどして、経理代行の件数を増やしていく。
一人の処理能力を超えたら人を使うことを考えよう。
その間に会計士、税理士などの資格を取る。
ここまでくれば、税務会計士として独立開業の道も見えてくるのではないか。
現実に副業は就業規則で禁止にしているところが多いが、実際は業務に支際を来すなどあからさまな形でやらない限り、まずとがめられることはない。
定年後、いきなり起業するのはリスクが大きい。
現役のうちから二足のわらじで練習を積むのは悪くない選択である。