そのポジティブ思考、実はネガティブ思考では?

「人の一生は重い荷を背負って遠い道をゆくようなものだ」といったのは徳川家康。

果たして、家康は、ポジティブ思考の人ですか、ネガティブ思考の人ですかと問いかける。

これだけを見れば、人生は「つらいもの」「苦しいもの」「希望を見い出せない」など、とてもネガティブ(マイナス)思考の人に思える。

けれども、これは逆。

「一歩ずつ着々と前進してゆくポジティブな思考」だ。

仮に、「人の一生はなんの荷も背負わず、日々ルンルン気分で楽しいもの」という、一見ポジティブ(プラス)思考を信じていたら、いざ現実問題に直面し、実際に「つらく」「苦しく」「お先まっ暗」「絶望的」になったときに、すぐにへナへナとなり、なかなか再起できないのではないだろうか。

 

「人生は明るい」と信じている人ほど、知らず知らずのうちにネガティブ思考のほうへ傾いてゆくように見える。

通勤電車の吊り革にぶら下がっていると、頭の中を駆け巡り始めるのは仕事で上司に叱られたこと、このままこの会社で働いていいのだろうかという疑問、不信感、将来の自分への不安など、ネガティブなことばかり。

それは、「人生が明るいもの」と信じているがゆえに、そうではない現実の自分を責めざるをえなくなるからだろう。

電車の中では「このやろう、バカにしゃがって」と、つぶやいている人がいるが、これも「人生は明るいもの」と信じているから、「お先まっ暗」な自分を許せない。

そのギャップを埋めるためにブツブツやっているのであろう。

「重い荷を背負って」の部分を信じたほうがいいということ。

始めから「そんなもの」と思っていれば、挫折したり窮地に追い込まれたときでも、「お先まっ暗」になってブツブツいうのではなく、「この重い荷を背負っても前に進もう」という覚悟ができる。

知恵を出し、努力もし、ナントカしようと前向きになれる。

それが正しいポジティブ思考だろう。