相手の目を見て話すか、見ないで話すか

じっと人の目を見ながら話をする人がいます。

例えば、人を糾弾(きゅうだん:罪や責任を問いただし、非難すること。)する人で、「ちゃんとオレの目を見て答えろ!」というタイプです。

上目づかいの甘えたしぐさで男性の目をじっと見て話す女性、笑顔で女性の顔をのぞき込むように見る男性も少なくないですね。

彼らの場合は、「私を見て、好感を持ってください」という気持ちと、「じっと見ていたい」という愛情によって、目が離せないのです。

前者と後者ではまるで受ける印象は違いますが、どちらも「訴えることがある」という点では同じです。

相手よりも、コミュニケーション欲求が強いことも同じです。

 

視線を合わせるということは、気持ちも合わせようとする行為であり、にらみつけて「こっちを見ろ」というのは「オレの気持ちになってみろ!」であり、「ねえ、あなた、こっちを向いて」というのは「私の気持ちをわかって」なのです。

恋をしたり、怒ったりという感情が高まったときというのは、人の心が見えやすいものです。

心の中のことが、しぐさとなって出てしまうからです。

 

このポイントを踏まえて、次の二つの例を考えてください

「課長、この書類、チェックしていただけますか?」

と、部下が課長のデスクに書類を置きます。

パソコンに向かっていた課長は、

「かった。ごくろうさん」

といいます。

さて、みなさんが課長なら、このときパソコンの画面から、一瞬でも目を離し、部下と視線を合わせるでしょうか、それとも画面を見たまま返事をするでしょうか。

どちらを選ぶかで、部下の感じ方は大きく違いますが、どちらがいいかは明白でしょう。

 

目を見て話したほうが気持ちがいいとわかっているのに、それができないのは、コミュニケーション力が欠落しているか、相手に対する温かい気持ちがないからです。

仕事を指示するときにも、よそ見をしながら「これ、やっといて」と、机の上に書類をポンと置くような態度は粗暴な感じがするものです。

やって当然の仕事でも、相手の顔をしっかりと見て、「これ、お願いね」とにっこりとほほえむほうが品格が出ます。

上の人は、指示するときには、部下を傷つけることなく、喜んで自分の指示に従おうと思わせるような態度を示してほしいものです。

実際の話、そのほうが、仕事はトラブルもなく、スムーズに展開しやすいものです。