「じゃ、いいです」のひとことで、心の壁ができる

何か頼まれごとをしたときなどに多いのですが、まったく経験したことのない話をされても、すぐに理解できないことはありませんか?

 

パートで十数年ぶりに働くことになった主婦の話です。

コンピュータで文書を入力し、プリントアウトして、先方に渡してほしいと指示されたそうです。

「このWordのファイルに、この書類の数字を打ち込んで、○○商事の××さんに添付で送ってくれる?先方はMacだから、文字化けしてたら、読めないかもしれないんで、テキストファイルも一応、つけてくれないかな。あ、メールに貼りつけてもいいや」

 

ふだんからコンビュータを使いこなしている人なら、どうということもない話ですが、ちょっとインターネットを使った程度の人の中には、「なんのことだか・・・」という人もいるでしょう。

パートの主婦も、まさにそんなひとりで、「あのう、Wordってワープロソフトのことですよね?メールに貼りつけてって、どういう・・・」と、質問しました。

すると、意外なほどあっさりと、こんな答えが返ってきたのです。

「ああ、わからないんですね。じゃあ、いいです。自分でやりますから」

長いブランクを埋めるために、少しでも早く仕事を覚えようと思っていた矢先に、これです。

そのパートの主婦は、とてもショックを受けたそうです。

 

確かに簡単なパソコンの操作ができない人に仕事を任せると、仕事が増えるということがあります。

それなら自分でやったほうが早いけれども、即座に「じゃあ、いいです」では、相手を傷つけてしまいます。

「なんだ、こんなこともわからないんだ。もっと勉強してもらわなきゃ」

と本音をいってもいいですから、続けて、

「じゃあ、数字を入れ終わったら教えてください。そのあとは私がやりますから横で見てて覚えてくださいよ。次からは自分でできるように」

というのが、実践的です。

 

相手を見捨てた言い方ではなく、努力を促す言い方をしてください。

人を傷つけ、自分が恨まれるような話し方は最悪です。

できることなら、心を広く持って「あまり、パソコンは得意じゃないのかな?じゃ、いい機会ですから、手順をお教えしましょう。一回で覚えてくださいよ。期待してますからね」と、相手が気持ちよく学べるような言い方をしたいですね。

「親切に教えてくれるんだから、ちゃんと覚えなきゃ」と、感じてくれたら、仕事の面でも人間関係の面でも、うまくいきます。