「1週間でトータル49時間眠る」のが健康にいい
それでもうまく気持ちが切り替えられない日もある。
そんな日は、さっさと寝てしまう。
つまり、睡眠をたっぷりとるに限る。
睡眠時間は、短すぎても長すぎても、よくない。
1日約7時間、1週間に換算して49時間ほどの睡眠が最も健康によく、寿命も延ばすことがわかっている。
寝すぎは、死亡率が20%も高くなるという研究結果が出ており、むしろ健康に悪いのだ。
熟睡できる時間は、加齢とともに減少していくのだ。
そこで、50代になったら、できるだけ効果的に睡眠をとることが必要になってくる。
いちばんいいのは、成長ホルモンが最もよく分泌される「ゴールデンタイム」といわれる、夜11時から深夜2時の間に熟睡していることだ。
睡眠時間の長さよりも、 この時間帯に熟睡していることが大事なのである。
人の睡眠は、前半の「深い眠り」と後半の「浅い眠り」に分かれ、寝ついてから3時間以内に最も睡眠が深くなる。
だから理想を言えば、ゴールデンタイムの前、つまり、11時前には寝ているのが望ましい。
この深い眠りには「肉体のメンテナンス」の役割がある。
成長ホルモンが活発に分泌されることで、新陳代謝がアップし、免疫細胞を活性化させていくのだ。
そして、骨や筋肉をつくり、脂肪を分解させ、動脈硬化やメタボの予防を行ない、傷ついた細胞や組織の修復もしてくれるのである。
ところが夜遅く食事をして、お腹がまだ張った状態で眠ると、体は消化吸収に追われてしまい、睡眼の質が低下し、大切な成長ホルモンの分泌も妨げられてしまうのだ。
また、夜食にスナック菓子を食べたり、甘い飲料を飲んだりすると血糖値が上昇し、それを下げるために夜中にインスリンが出てしまう。
すると、成長ホルモンの分泌が抑えられてしまううえに、分解された糖質は消費されず、脂肪として蓄えられて太ってしまうのだ。
その後、朝に向けて、睡眠は次第に浅くなっていく。
浅い眠りには「心のメンテナンス」の役割がある。
脳のなかで記憶が整理されたり、溜まったストレスを発散して、心地よく目覚めさせる準備を行なうのだ。
このとき分泌されるのが、コルチゾールと呼ばれるホルモンだ。
体に蓄えられたグリコーゲンや脂肪を分解してエネルギーに変え、やる気を高める働きがある。
睡眠には、こうした健康に対するメカニズムがあるのだ。
また、加齢とともに睡眠時無呼吸症候群を発症しやすくなる。
睡眠時無呼吸症候群は、大きないびきが特徴で、寝ても疲れがとれない、昼間に眠気に襲われる、朝起きると頭痛がする、といった現象が起こってくる。
加齢により咽頭の筋力が低下し、睡眠時に気道が閉塞することで呼吸が停止して、高血圧、血液中の酸素濃度も減少する。
その結果、血管内皮が傷ついて、酸化ストレスを増大させ、生活習慣病が起こってくる。
さらに交感神経の緊張が男性ホルモンの減少を引き起こし、EDにもつながる。
50代になったら睡眠を大切にして、あまり夜遅くまで働かないことである。
若いころのように体に無理を重ねて、深夜まで頑張って働いていると、深い眠りが得られず、免疫細胞が元気をなくしてしまう。
しかも、加齢とともに眠りが浅くなる。
そのため過剰に分泌されたコルチゾールが血圧や血糖値を高め、免疫機能の低下やEDをもたらす。
さらに、コルチゾールの分泌はストレスによっても増える。
だから、中高年になってからの「働きすぎ」は病気になりやすい体にしてしまうのだ。
毎日決まった時間にさっさと寝て、翌日また元気に働く。
こうした規則正しいリズミカルな生活を続けることである。