太りすぎた人は「運動してはならない」

もし今、あなたが太り気味だとしたら、深刻な状態になる前に、早めに手を打つことである。

まずは太ってしまった原因を突き止め、それを取り除くためのアプローチから始めるよう。

 

メタボリック・ドミノを食い止めるには、「生活習慣の乱れ」を直すことが先決だ。

そして、さまざまな生活習慣病の原因となる「肥満」から脱出することである。

こう言うと、次の日の朝から早速、ランニングウェアに着替えて、太った体でジョギングを始めようとする人がいる。

賢明な読者のみなさんのなかにはいないと思うが。

これは優先すべき順位が間違っている。

たぶん長続きしないか、最悪の場合、倒れて救急車を呼ぶ事態になるから、絶対にやめよう。

 

現に、ランニング中に心臓発作で倒れる人も少なくない。

朝はまだ体の機能が目覚めていないため、突然に体を動かすとその変化に体がついていけない。

しかも、起きた直後は就寝中に汗をかいたことで、体内の水分は失われ、血液はドロドロで血管が詰まりやすくなっている。

とくに冬場、寒いなかをいきなり薄着で外に飛び出すと、寒さで血管が収縮し、血圧が上がりやすくなるのだ。

 

また、太った体で、いきなりランニングを始めると、自分の体重で膝を痛めてしまう。

せいぜい「三日坊主」で終わるのが関の山だ。

ならばと、食事を抜いたり、「O○ダイエット」といって1つの食品ばかり食べるダイエットを行なう人もいるだろう。

このような無理なダイエットは、一度は少しやせても必ずリバウンドする。

もうその食品を見るのも嫌になるはずである。

 

医師から処方された薬を飲んで健康を改善しようという人も多いだろう。

だが、薬は対処療法として症状をやわらげることはできるが、健康そのものを取り戻すことはできない。

体の不調の根本原因となる「生活習慣」そのものを直さないかぎり、メタボリック・ドミノは加齢とともに進行していくのだ。

「健康になりたい」という意欲は誰もが持っている。

しかし、それを実現するための最良の方法を知る人は、意外に少ないというのが現実かもしれない。

では、何から始めればいいのか。

 

50代で体と心の健康を取り戻すための優先順位は、簡単である。

「肥満からの脱出」。これが真っ先に行なうべきことだ。

そのためには、まず「食生活の改善」に集中しよう。

当面、「運動」は二の次と考えてもいい。

あれもこれもやろうとしても、ただでさえ忙しい50代には、無理である。

そのうち、きっと継続できなくなり、「やはり、俺はダメなのか」という悪しきトラウマと、「改善できなかった生活習慣」の結果、悪くなった検査数値だけが寂しく残ることになる。

 

「肥満」の原理は、じつにシンプル。

その人の摂取カロリーが、消費カロリーを上回っているから「太る」のだ。

そして、そうしたライフスタイルが固定化されてしまっていることに原因がある。

だからこそ、そのライフスタイルを変える、つまり、「食事から摂取する内容を変える」ことから始めるのだ。

食生活を改善するだけで、体には想像もつかない「変化」が訪れるだろう。

あなたも、「食生活の改善」がもたらす効果の大きさに改めて気づくはずである。

こんなことなら、もっと早く始めればよかった」と。