スキルを身に付けるとある機会に人間は「爆発的に」伸びる能力をもっている
人は初めて行うもの、趣味にしても仕事にしても新しいスキルを習得する時、始めの方はゆっくりと試行錯誤をしながら覚えはじめ、それからある機会に爆発的に能力が増加するという曲線が描かれることが知られている。
サッカーの技術にしろ、水泳の技術にしろ、ある一線の壁を越えると、飛躍的に上達する。
ただ、それを知らずに壁にぶつかると、努力をやめてしまう人がいる。
もったいない話である。
あともう少し頑張れば、一気に伸びるのに・・・。
もう少し努力すれば、成果が見えるという一歩手前まで進んでおきながら、諦めてしまうのである。
ピアノを覚えるとき、基本的な指の動きをマスターするまでが時間がかかる。
しかし、その後では、どんな曲でも、必要な練習をつけ加えるだけで、弾きこなすことができる。
プロのピアニストは、一度も練習をしたことがなく、初めて見る楽譜であっても、それなりに弾きこなすことができる。
どの曲もおのおの異なっているが、ピアノの鍵盤は8しかなく、音階は8音しかないから、いったんピアノの技術を身につけてしまえば、後は、その応用で何とかなってしまうのだ。
人間関係のスキルも同じようなものである。
人の性格は十人十色であるが、ある程度の法則をマスターしてしまえば、だれにでも通用する。
初対面の人に出会ったときにも、過去に培ったスキルを使って、それなりに仲良くすることができるのである。
どんなに訓練しても、最初は遅々として進んでいないように思えるときがある。
学習効果がすぐに表面に出てきてくれないからだ。
しかし、潜在的なレベルでは、確実に習得が進んでいるのであり、安心して訓練をつづけてほしい。
その成果が表面に出てくるときには、自分でも驚くほど進歩しているはずだ。
また、いったんあるスキルを習得すると、それと関連する領域のスキルも引っ張られるようにして上昇することも期待できる。
たとえば、英語の勉強をしていると、まったく勉強していない国語の力まで、引っ張られるように上昇してしまうことがある。
箸を使ったことがないアメリカ人に、はじめて箸の使い方を学習させるのと、右利きの日本人に左手で箸を使わせるのを学習させるのとでは、どちらの習得が早いのか。
だいたい予想がつくように、日本人のほうである。
右手で覚えたことは、左手を使うときにも生かせるのである。
元巨人の桑田真澄さんは、指先の微妙な感覚を養い、投球に活かすために、ピアノの練習などもしているという。
幅広く考えると覚えてきたスキルというのは、意外に、どんなところで結びついているかわからないものである。
あるひとつの仕事のスキルを習得しようと頑張れば、それに関連するスキルまで一緒に鍛えることもできよう。
たとえば、姿勢をよくする訓練を受けていると、声がよく出るようになったり、疲れにくくなったりと、関連する点でもメリットが出てくることがある。
何かの学習をするときには、効果が出てくるまでには、すこし時間がかかるかもな、とあらかじめ覚悟しておき、その一方で、別の点でもメリットがあるから頑張ろうと考えれば、努力を継続する励みになるであろう。
個人事業でもビジネスでも1年後2年後になるかもしれない、しかし日々の積みさねでいつか必ずその転機が訪れると信じてスキルを身に付けていけばよいのである。