糖尿病にいけないのは日本酒？ビール？
糖尿病の場合、日本酒はよくないが、ウイスキーのような蒸留酒ならょいと信じている人がいるようだ。
しかし、これは大きな間違いで、どんな酒でも、糖尿病に対する影響は同じである。
糖尿病には、酒の種類よりも、アルコールの量が問題となる。
では、どうして、このようなことを信じる人がいるのだろうか。
それは、糖尿病の診断が尿の糖を測って判断していた時代の名残りだといえよう。
日本酒やビールなど、穀物からつくる醸造酒は糖分を含んでいる。
しかし、ウイスキーなどの蒸留酒は蒸留してしまうので、糖分は入らない。
糖分は蒸発しないからである。
そこで、尿の糖を測って糖尿病の状態を判断していた時代には、糖分を含む穀物醸造酒を飲むと、尿に糖が出てくることがあった。
一方、糖分を含んでいない蒸留酒だと、糖分がないのだから、飲んでも糖が尿に出てくることはない。
このようなことから、酒の種類による糖尿病に対する見解が出てきたのである。
糖尿病患者は程度により、いくらかの酒を許される場合もある。
ただし、自制心のある人に対してだけで、ついつい多く飲んでしまう人には通常、酒は駄目と念を押される。
というのも、糖尿病はもともとインシュリンの分泌量が少ないために、血液の中に吸収された糖分が素早く処理されない病気であるが、アルコールが多量に体内に入ると、インシュリンの分泌を低下させるためだ。
現在では、糖尿病の状態を判断するには、空腹時の血糖値を測り、それから、負荷試験といって、ブドウ糖を一定量飲ませた後、30分ごとに血糖値を測って、その低下具合を測定する。
尿に糖が出ていなくても、れっきとした糖尿病の患者は多く存在する。
ついでだが、ビールはアルコール濃度が4%から5%程度、日本酒は16%から原酒のように20%以上のものまである。
ワインは13%くらい、ウイスキーやブランデーでは40%以上、焼酎は25%のもの、35%のものなどさまざまである。
この濃度はいずれも容量に対するパーセンテージであるが、目安としては、ビールを500ミリリットル飲むと、合まれているアルコールは25グラム程度になると覚えておけばよい。
酒の容器には、必すその酒のアルコール濃度が表示されているから、表示を見ればどれだけ飲んだかすぐに分かる。
濃度が高くても飲む量が少ない蒸留酒よりも、 ビールのように薄いものを多量に飲む方がアルコールの摂取量は高くなることがあるので、アルコールの濃度だけで、飲んだアルコール量を判断してはいけない。
あくまでも、量との関係であることを忘れないことだ。
