状況に応じて、話すスピードを変える

早口の人は、せっかちで神経質な性格と見られがちです。

そういう人で、てきばきとした印象の人もいますが、ちょっと見方を変えれば「がさつな人」という印象にもなりかねません。

また、そういう上司が言葉をはさむ余地も与えないほどの矢継ぎ早(やつぎばや)の指示を出したとすれば、部下は「せっかち」「イライラしている」という印象を持つことになり、すっかり奏縮してしまいます。

 

逆に、しゃべるのが遅い人はのんびり屋で熟考型の性格と見られがちです。

けれども、あまりに遅口(こんな言葉はありませんが)では、「ドンくさい」「頭の回転が鈍そう」というマイナスのイメージも生まれます。

とはいっても、早口すぎる人より「人がよさそう」「誠実な感じ」というプラスの面もあります。

 

さて、上司として、どちらが向いているのか。

これは一概にはいえません。

というのは、日常の話し方が「速いか遅いか」ということよりも、問題は、状況や相手に応じた話し方ができるかどうか、が上司の資質として問われているからです。

仕事の込み入った話をするときに早口でまくしたてたのでは、 部下は面食らい、プレッシャーも感じて、仕事は滞ってしまうかもしれません。

時間がないときに、あまりのんびりとした口調で指示を出されても、部下はイライラさせられます。

これはプライベートの場でもあてはまりますね。

みんなが盛り上がっているときはテンションが上がっていますから、ポンポンポンと話すスピードも速くなっています。

そんな雰囲気のときに、「あのさー、えーと・・・」 などと悠長に話しかけたのでは誰も聞いてはくれません。

TPOに応じて、話し方を変えてゆく、とくにスピードを変えてゆく・・・上司にはそういう能力が必要なように思います。

上司だけでなく、部下にとっても、それは同じことがいえますが。

 

病院では看護師が医者に報告するとき、患者やその家族の前ではどんなに緊急の場合でも声を荒らげたり、早口で話したりするのはタブーたなのだそうです。

早口というのは、緊急事態であり、焦っているという印象を与え、患者は「何か悪いことがあったのかと不安になることも多いからなのだそうです。

早口でしゃべる人、のんびりと話す人・・・どちらか一方に偏った話し方しかできないのでは、不都合が生じます。