「上の空」の相づちで人の心は離れてゆく
自分のほうをしっかりと見て、相づちを打ってくれる人は、自分の話を聞いてくれている人と思えます。
話し終えたあとには、きちんと聞いてもらったという満足感と相手への信頼感も生まれます。
ところが、「はい」とか「そうね」と合いの手を入れているけれども、明後日の方向を見ている人は「上の空」、ちゃんと聞いている人とは思えません。
「うん、うん」と上の空で相づちを打っている人は、まったく聞いていないのでしょう。
「なるほど」と、納得しているかのような言葉を使う人もいますが、連発されると、
「この人、とりあえず、なるほどといっておけばいいと思ってるな」と、心の中を読まれてしまいます。
「上の空対応」であることは、自分ではあまり意識しないものです。
というのは、ともかく耳から入ってきますから、相手のいっていることはわかっているつもりなのです。
けれども相手をカチンとさせていることが多いものです。
ときには、相手を傷つけたり、怒らせたりしてしまうことにもなり、それまでの信頼関係にヒビが入ることもあるでしょう。
「上の空対応」は、相手に「自分はとても軽んじられている」と思わせるものです。
夫婦や恋人が「上の空対応」になってくると、「ちゃんと聞いてるの!」とケンカになることもありますね。
夫婦というのは、こういう些細なことの積み重ねで、関係が悪くなりますので、要注意です。
職場では、「上の空対応」をしても、表立って行動し、ケンカに発展することはないでしょうが、表面上は穏やかな人間関係でありながらも深く根に持つ可能性があります。
部下が上司の話を上の空で聞き、「はあ」「ふーん、そうなんですか」というような、かったるい対応をすれば、「真剣味のないやつだな」と、心の中では評価を下げるでしょう。
何回かそんなことがあれば、「ダメな部下」という烙印を押すことにもなります。
夫婦のようにケンカに発展するわけでもなく、関係も表面は穏やかですが、職場での評価は確実に下がり、信頼関係も損なっていくことになるのです。