記憶のエネルギー源「ブドウ糖」を欠かしてはいけません!

「仕事が忙しい」「人間関係がうまくいかない」

人はみななんらかのストレスを抱えて生きているものです。

このストレスを本能のままに発散できたら、どんなにスッキリすることでしょうか。

「眠いから今日は仕事に行かない」

「理不尽なことをいう上司に、頭からお茶をひっかけてやる」

「わがままな妻(夫)に離婚届けを叩きつけ、貯金を全部おろしてラスベガスへ行ってギャンブルに使う」

理性ある社会人には、ちょっとできないことでしょう。

 

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人間は理性で本能をコントロールしているのです

医学的にいえば、大脳辺縁系の自然な働きを、大脳新皮質の働きによって抑え込んでいるのです。

大脳辺縁系(だいのうへんえんけい)は、人間の脳で情動の表出、食欲、性欲、睡眠欲、意欲、などの本能、 喜怒哀楽、情緒、神秘的な感覚、睡眠や夢などをつかさどっており、そして記憶や自律神経活動に関与しています。

大脳新皮質(だいのうしんひしつ)とは、大脳の部位のうち、表面を占める皮質構造のうち進化的に新しい部分である。合理的で分析的な思考や、言語機能をつかさどる。

 

大脳辺縁系と大脳新皮質は別々に働いているわけではありませんから、互いの均衡が崩れてしまうと、理性的な判断ができなくなるのです。

 

ストレスが脳に与える影響!興味深い研究があります

サポルスキーという神経免疫学者は、ベトナム帰還兵を対象に、実戦で受けたストレスで脳がどのように変化したかを調べました。

すると、前線にいた日数に比例して海馬が萎縮していることがわかったのです。

海馬(かいば)は、大脳辺縁系の一部である、海馬体の一部。特徴的な層構造を持ち、脳の記憶や空間学習能力に関わる脳の器官。その他、虚血に対して非常に脆弱であることや、アルツハイマー病における最初の病変部位としても知られており、最も研究の進んだ脳部位である。

 

死と隣り合わせの恐怖、敵とはいえ同じ人間を殺すという深い罪悪感、それらに打ち勝たねばというプレッシャー111日常の枠を超えた過度のストレスは、海馬にまで大きな影響を与えていたのです。

海馬は新しい記憶をつむぐためになくてはならない器官です

その海馬が萎縮すれば、古い記憶は保たれていても、これから覚えていく能力は明らかに低下してしまいます。

アルツハイマー病でも、まっ先に障害されるのは海馬の神経細胞なのです。

過剰なストレスをためてまで仕事をしていると、判断力が鈍るだけでなく、記憶力も低下してしまいます。

 

ストレスと同様ダイエットも記憶力の大敵です

おなかがすいた状態では、身体に力が入りません。

「記憶は身体を使うわけじゃないから、食べなくても大丈夫」などと思ったら大間違いです。

肉体にエネルギーが必要なのと同じように、脳にもエネルギーが必要です。

それどころか、脳という器官はとんでもない大食漢なのです。

 

脳の重さは体重全体からすると、約二%ほどしかありません。

それなのに、脳は身体全体の二〇%ものエネルギーを消費しているのです。

そんな脳のエネルギー源は、ブドウ糖です。

ブドウ糖とは、炭水化物が体内で分解されてできる物質で、炭水化物はご飯やパン、めん類などの主食に多く含まれています。

 

特に若い女性は、ダイエットに熱心な人が多く、ややもすると朝は野菜ジュース、昼はグリーンサラダ、夜は油気のないおかずを少しだけ、といった極端なことをしがちです。

ご飯をモリモリ食べるより、野菜をポリポリかじっているほうがスリムで美人になれそうなイメージがあるかもしれませんが、それでは身体も脳もゲッソリとやせていくだけです。

知性や健康美が備わっていなければ、本当の美人とはいえません。

脳が喜ぶ主食をしっかりとって、知的なダイエットを心がけてもらいたいものです。

 

忙しいサラリーマンにありがちな「朝食抜き」は記憶力低下のもとです

昔、日本人の食事は一日二回が普通だったといいますが、これが三回になったのは、時代の進化とともに脳を酷使するようになったからだとする説があります。

肝臓や筋肉には、ブドウ糖を貯蔵するグリコーゲンという倉庫があるのですが脳にはこの倉庫がありません。

定期的にブドウ糖を補充してやるしか、供給方法がないのです。

朝は、とくに血液中のブドウ糖の量が減っています。

朝食をしっかりとらないサラリーマンの脳は、ガス欠の車同様、働くことができませんよ。