突然死が問題になっている。
とくに過労死の場合、よく調べてみると、血液中のカルシウムとマグネシウムの比率がバランスを失っていることが判明した。
つまり、体内では、カルシウムに対しマグネシウムがその半分程度含まれていないと、心不全などの心疾患を起こし、急死することがしばしばあるのである。
では、マグネシウムはどのようなときに不足するのだろうか。
まず、マグネシウムの摂取不足も原因になるが、さらに大きい原因はストレスである。
ストレスが強くなると、血液中のマグネシウムが尿などに多量に排池され、カルシウムとマグネシウムのバランスが崩れてくる。
そこで、過労死を防ぐには、まず、ストレスを防止した上でマグネシウムの多い食品を摂取することである。
マグネシウムの摂取量は1日に300ミリグラム程度がのぞましいとされているが、その補給方法については、穀物と魚を多めに摂取するということにつきる。
殺物にはマグネシウムが多く含まれている。
とくにフスマなどを挽きこんだグラハムパンのようなものがマグネシウムが多い。
米もマグネシウムが多いので、毎日穀物を多めにとればマグネシウムは十分摂取できるのである。
日本では以前、穀物をもっと多量に食べていたので、マグネシウム不足はとくに問題にならなかった。
しかし、最近、穀物離れが進んで、こういった問題が出てきたのである。
また、豆腐を凝固させるのに用いるニガリはマグネシウムの化合物であるが、これも今ではニガリを使って豆腐を凝固させることは少なくなっている。
さらに、食塩も、昔は現在のように精製されておらず、ある程度ニガリを含んでいたのでマグネシウム補給に役立ったが、やはり状況が変わってきている。
一方、魚全搬、とくに海の魚には多くのマグネシウムが含まれている。
それは海水の中にマグネシウムが多く存在するからである。
最近は魚離れが著しく、昭和四十五年を境にして肉と魚の摂取量が逆転しているが、このような状態では、マグネシウム不足が起こりかねない。
いずれにしても、殺物や魚といった、以前から日本で日常よく食べられていた食品を日々の食事に取り入れることが、心臓疾患による突然死を防ぐのに大きな意味があるわけだ。