約束の優先順位は「相手」よりも「順番」で
「私と仕事、どっちが大事なの?」と聞くような女はバカだと思っている。
それは次元の違うもので、比べること自体が間違っている。
しかし、女にそんな質問をさせる男もダメだ。
たぶん、しょっちゅう「ごめん、いきなり仕事が入っちゃってさ」とデートの約束をすっぽかしているのだろう。
世の中「仕事だから」といえば、どんな約束も反故(ほご)にしていいと思っている人はたしかに多い。
仕事が大切なのは当然だが、そんなことはわかったうえでつきあっていくのが人間ではないか。
私には、数人でときどき飲みに行く仲間がいる。
他愛もないバカ話をして楽しい時間を過ごしている。
しかし、そのうちの一人とはだんだん疎遠(そえん)になっていくだろうと思っている。
たびたびすっぽかすからだ。
彼は、約束の段階では、いつも大乗り気でいる。
「いいね、必ず行くよ」
しかし、当日になって電話が入る。
「どうしても断れない急な仕事が入っちゃって」
この繰り返しである。
そのたびに、幹事はお店に「すみません、一人減るので・・・」と謝ることになる。
みんな大人だから何もいわないが、「もう、あいつは誘わなくてもいいんじゃないか」と考えているのがわかる。
そこにいる誰もが、彼と同じように忙しく仕事をしている。
忙しいが、あえてそんなことはいわない。
何とか都合をつけて集まっているのだ。
ある30代の男性は、友人との集まりに遅刻ばかりしている。
いつも4,5人で会うのだが、その男だけが平気で一時間以上も遅れてくる。
理由は「大事な仕事が残っていたから」だ。
二人で会うのであれば、待たされた一人に迷惑をかけるが、複数なら自分一人くらい遅れても問題はないと思っているのだろう。
あなたの周りにも、こういう人間が一人や二人いるのではないか。
彼らは、約束事に質の違いがあると思っている。
彼らにとって、恋人や友人との約束は、仕事のそれよりもランクが低いのだ。
私は、約束は順番で判断している。
どんな個人的な約束であろうと、つまり、単なる飲み会であろうと、彼女とのデートであっても、先に入ったほうを優先する。
約束のある日に仕事の依頼が来たら、「その日は予定があるので、申し訳ないが別の日で考えてください」と正直にいう。
もし、それでダメだというなら、ほかの人に依頼がいくだろう。
その仕事は、私でなくてもいいのだ。
本当に私を必要としてくれているなら、相手は調整してくれる。
私は、何も「プライベートのために仕事を犠牲にしろ」などといいたいのではない。
約束というのはそういうものだ」ということだ。
「急に仕事が入ったら断ればいいや」というような不誠実さで、人と約束してはいけない。
「この日に約束を入れるのであれば、仕事はちゃんと調整しよう」という覚悟を持てということだ。
それが、人との正しい距離を保つ基本である。
もちろん、上司から「重要な話があるので、ちょっと時間が取れないか」などと、突然持ちかけられた場合は別だ。
ときには、あとからの用事を優先せざるを得ない状況も生まれる。
しかし、それはきわめてイレギュラーな例であり、常態化させてはけない。
約束事をあまり重要視しなくなったのは、もしかしたらスマホのような便利なものが普及したのも影響しているかもしれない。
「ごめん、遅れちゃう。先に行ってて」とメールすれば、それですんでしまうと思っている。
しかし、本当はすんではいない。
こんな友人関係は壊れやすい
もし、相手がスマホを忘れていたらどうなのか。
充電が切れていたらどうなのか。
それは相手が悪いのだろうか。
そんなことはないはずだ
約束事にいい加減な人は、それによって相手がどういう気持ちになるかということに鈍感すぎる。
そうした鈍感さは、仕事の場でもいかんなく発揮されるだろう。
プライベートの約束を反故にして仕事を優先させているという人は、実は大した仕事をしていないのかもしれない。