赤飯に小豆を入れるのはなぜ?
日本の祝い事には、小豆がつきものである。
小豆は赤飯に入れるだけでなく、餅菓子類にもあんことして使われている。
それには理由がある。
小豆は、いろいろな点で健康にいい食品だからだ。
日本では、農耕文化の始まった頃から既に栽培されていて、日常の食事にも取り入れられていたようだ。
興味深いのは、中国や韓国などでも小豆を食用にしているが、日本ほど幅広く使っていないということだ。
小豆は、中国最古の薬物誌である「神農本草経』によると、水を下し、むくみを取るとされていて、日本の古い医薬書も、その影響を受けている記述が見られる。
たしかに、小豆には、サポニンという特殊な成分がかなり多く含まれている。
小豆は煮るとき泡が立つが、サポニンのサポというのは、ラテン語で「泡立つもの」という意味である。
このサポニンは皮に多く含まれている。
水分の代謝を高め、むくみを取るのは、このサポニンの働きなのである。それに伴って、体がスリムになる効果もある。
また、皮膚の炎症を抑える作用もあって、喉が炎症を起こしたときなどになめるトローチに使われることもある。
ただし、サポニンはあまり多く摂取すると下剤作用がある。
そこで、通常、小豆を茄でるときに茄でこぼししてあくを抜く。
その方法は、洗った小豆を鍋に入れ、小豆の上一センチ位かぶる程度の水を入れ、加熱する。
そして、沸騰したらすぐに蓋で豆を押さえながら湯をこぼす。
こうすると余分なサポニンが抜ける。
また、小豆には、皮にもデンプン質の部分にも食物繊維が多い。
この整腸作用により、下剤成分のサポニンと協同して、便通をよくするという効用もある。
排世がスムーズになれば、余分なエネルギー成分が吸収されないので、中国などでは、糖尿病などによいとされているようだ。
糖尿病の人は小豆の粥を日常の食事に取り入れれば、水分が多くエネルギーが少なく、排世が促進されて、効果的ということのようである。
いずれにしても、祝いのときなどに用いられる食品には、何かの根拠があると考えてよいようだ。
昔からの食べ方を、現代にも上手に取り入れていきたいものである。