もし、あなたが上司の悪口をいったら、それは必ず、その上司に伝わると思っておいたほうがいい。

同僚の悪口でも同じだ。

酒場で交わされる、たわいもないグチ程度なら、誰しもやっていることだから神経質になることもないが、相手のプライドにかかわる重大な批判、陰口は、「ここだけの話」にすべきではない。

「広まるとまずいから、いわないでくれよ」と念を押しても、効果はあまり期待できない。

とにかく、まずいことは貝のように口を閉ざしておくしかないのだ。

これは、人を信頼しないとか、心を閉ざしているということとは、また別の次元の問題だ。

 

しかし、その衝動を抑えられないときは、しかたない、話す相手を選ぶしかない。

話したら情報が簡単に他にもれてしまうトップバッターは、いつも誰かとつるんで一緒に行動しているようなタイプの人だ。

つき合いがよく、性格はとてもいいのだが、秘密の守れる人物ではない。

仲間との一体意識が強いので、仲間内での「内緒話」のハードルがグッと低くなっているのだ。

 

また、社内恋愛や愛人関係、不倫関係の男女がいる場合などは、そこからも伝わりやすい。

トップシークレットが愛人経由で敵にもれるというのは、スパイ小説によくある話だが、こうした男女間では、秘密のハードルはないと思ったほうがいい。

あなたが本当に秘密を守りたいなら、そもそも誰にもしゃべらないのが一番だ。

しかし、秘密や悪口は、黙っていることほどつらいものはないし、ストレスのもとにもなる。

だから、しゃべってしまうと、

「なんでこんなに重大に考えて、いつまでもひとりで悩んでいたんだろう」

と思うことも多い。

それでスッキリできれば、そこで話は終わりだ。

しかし、問題はたいていそのあとに起こるから、人間関係はむずかしい。

 

そこでやはり、本当に信頼できる友人をつくっておくことが大切になる。

長いつき合いで、人柄もわかっており、秘密や悪口をもらしても直接の利害がなく、ある程度自分の立場もわかってくれている友人、親友といっていいだろう。

そんな人に聞いてもらい、心の負担を軽くできれば一番いい。